足立美術館
日本庭園と近代日本画の美が調和する、世界に誇れる芸術空間。「庭園日本一」の称号を持つ。
Since 1955 | Shimane, Japan
石油製品販売から始まった、地域とともに歩んだ七十年の物語
1955年。道の多くがまだ土だった頃。
人々が天気を見ながら田畑へ向かっていたあの頃から、
この町の空気を吸い、この町の人と歩んできた。
Chapter 01
戦後の混乱、高度経済成長の熱気、車社会の到来、バブル景気、そして今のITの時代まで。 七十年という歳月は、日本そのものが何度も生まれ変わるほどの長さでした。 けれど永惣は、その変遷のすべてを、安来の土の上から見つめ続けてきました。
1960s〜70s
日本列島を熱気が包む。車社会が到来し、ガソリンスタンドの役割が拡大。
1980s〜90s
全国が沸く時代も、安来は静かに、誠実に、暮らしを支え続けた。
2000s〜今
デジタル化・高齢化・人口減少。
それでも地域の「灯り」として在り続ける。
不思議なことに、時代がどれほど変わっても、安来には変わらないものがあります。 それは——人の質です。
Chapter 02
安来の人は、派手ではありません。
声を荒げて自分を大きく見せることも少ない。
ですが、静かに責任を果たし、困ったときには自然と助け合う。
無理をせず、見栄を張らず、
それでも一度決めたことは最後までやり抜く。
この土地は、日本海と中海に守られ、山々に抱かれています。 自然は決して激しく主張せず、四季を静かに巡らせます。 その環境が、人の気質にも影響しているのでしょう。 安来は、決して「派手な観光地」ではありません。 ですが、だからこそ、本質が残った町だと思っています。
Chapter 03
今では「どじょうすくい踊り」が全国的に知られていますが、 あれは単なる宴会芸ではありません。 厳しい暮らしの中でも笑いを忘れず、人を楽しませようとする、 この土地の優しさそのものです。
田畑から生まれた音楽
民謡は本来、暮らしから生まれる。田畑の仕事、人と人との付き合い、祭りの高揚感。安来節には生活の温度が宿っている。
言葉を超えた普遍性
海外の方が見ても自然と笑顔になる。言葉が分からなくても、人間らしさは伝わる。安来節は世界に誇れる「生活文化」だ。
笑いの中にある品格
宴席での笑い声の奥には、他者を楽しませようとする真摯な想いがある。安来節が持つ、優しさの本質。
Chapter 04
ものづくりに関わる方なら、一度は耳にしたことがあるでしょう。 派手に語られることは少ないですが、安来の鋼は、日本の工業技術を長年支えてきました。
「真面目に、丁寧に、長く信頼を積み上げる。
この町の人間性そのものが、鋼にも宿っている。」
安来鋼が世界に評価される理由は、技術力だけではない。
また、安来は古くから「つなぐ町」でもありました。 出雲の文化圏と、鳥取・米子の経済圏。その間に位置する安来には、昔から人と物の流れがありました。 農業においても——田んぼを守ることは、水を守ることです。景観を守ることです。地域のつながりを守ることです。 安来の農業には、「暮らしを次世代へ渡していく感覚」が今も残っています。
Chapter 05
庭園を眺め、歴史に触れ、温泉に浸かり、民謡で笑い、土地の食を味わう。 その流れの中で、人は自然と「日本らしさ」の本質に触れていきます。
日本庭園と近代日本画の美が調和する、世界に誇れる芸術空間。「庭園日本一」の称号を持つ。
戦国の歴史が息づく山城跡。山陰随一の山城として知られ、尼子氏の栄枯盛衰を伝える。
千年以上の祈りを今に伝える古刹。山陰の名刹として、今も多くの参拝者を迎える。
人々を長く癒やしてきた歴史ある温泉地。静かな湯と安来らしい風情が今も息づく。
安来鋼のものづくりの精神を後世に伝える博物館。日本の鉄の文化を深く体感できる。
生活の中から生まれた民謡文化。現代の人たちが求める「本物」の体験がここにある。
現代の人たちは、「本物」を敏感に感じ取ります。 大量消費や効率だけではなく、自分らしく生きること、人とのつながり、自然との距離感を大切にしている。 だからこそ、安来のような町に価値を見出し始めているのでしょう。
Chapter 06
そして、その暮らしを陰で支えてきたのが、地域のガソリンスタンドでした。 昔は、道沿いに小さな給油所の灯りがあるだけで、人は安心したものです。
ガソリンスタンドは、
燃料を入れるだけの場所ではありません。
人が集まり、道を支え、
地域の動きを止めないための
「暮らしの拠点」だったのです。
農家の軽トラックも、家族旅行の車も、仕事帰りの一台も、みんな地域の暮らしそのものでした。 雪の日も、台風の日も、地域の車を止めないように働く——それが永惣の70年でした。
暮らしの象徴
農家の軽トラック
田畑へ向かう一台一台。その燃料を止めないことが、地域の農業を守ることだった。
家族のつながり
家族を乗せたワゴン車
休日の家族旅行、子供の送り迎え。地域の人の日常が、すべてここに集まっていた。
旅人との出会い
旅人を運ぶレンタカー
安来を訪れる人を迎え、見送る。地域の玄関口として、町の顔でもあった。
地域の命綱
雪の日も、台風の日も
どんな天候でも灯りを消さない。それが「暮らしの拠点」としての責任だった。
町は、人がつくります。
そして人は、道によってつながっていきます。
今日もまた、安来のどこかで車が走っています。
田んぼへ向かう軽トラック。
家族を乗せたワゴン車。
旅人を運ぶレンタカー。
その一台一台の人生を支えながら、
地域のガソリンスタンドは、
これからも静かに灯りをともしていくのでしょう。
安来の道とともに。
人の暮らしとともに。
そして、この町の未来とともに。